会話を学習に使わせない設定は、どこにあるか
個人プランは既定で学習に使われ、法人契約は使われません。主要サービスの設定の場所と、オフにしても効かない3つの例外。
入力した内容が学習に使われるかどうかは、サービスではなくプランで決まります。個人向けプランは既定で学習に使われ、法人契約とAPIは既定で使われません。4社とも、この線の引き方は同じでした。
つまり会社として一番効くのは、設定を配ることではなく、業務で個人アカウントを使わせないことです。とはいえ全部を法人契約に寄せるまでには時間がかかります。その間の実務として、設定の場所をまとめました。
2026年9月時点の各社の公開ドキュメントで確認した内容です。画面の文言は変わるので、実機で照らし合わせてから配ってください。
主要サービスの既定と、設定の場所
| サービス | 個人プランの既定 | 設定の場所 | 設定名 |
|---|---|---|---|
| ChatGPT(無料・Go・Plus・Pro) | 学習に使う | 設定、データコントロール | すべての人のためにモデルを改善する |
| Gemini(個人) | 学習に使う | Geminiアプリの設定 | アクティビティの保存 |
| Claude(Free・Pro・Max) | 学習に使う | 設定、Privacy | Help Improve our AI models |
| Microsoft Copilot(個人アカウント) | 学習に使う | プロフィール、Privacy | Training on conversation activity |
| GitHub Copilot(Free・Pro・Pro+・Max) | 学習に使う | Copilot settings | Allow GitHub to use my data for AI model training |
法人契約はいずれも既定で学習に使われません。ChatGPTのBusinessとEnterprise、Google Workspace、Claude for Work、Entraアカウントで使うMicrosoft Copilot、GitHub CopilotのBusinessとEnterprise1234。GitHub Copilotの法人プランでは契約で禁じられているため、設定項目そのものが表示されません5。
表に3つ補足します。
ChatGPTは、画面の設定とは別に、プライバシーポータルからも申請できます。どちらか一方で足ります。ただし法人向けプランとAPIには適用されません6。
Geminiの設定は、学習だけを切るものではなく、会話をアカウントに保存するかどうかの設定です。保存をオフにすると、会話はアカウントに残らず、サービスの改善にも使われません。既定では18か月で自動削除され、3か月、36か月、削除しないから選べます7。
ClaudeとMicrosoftの設定名は、日本語の画面表記を公式文書で確認できなかったため、英語のまま載せています。
GitHub Copilotが学習対象になったのは2026年4月24日からです5。それ以前の社内資料は、この点が古くなっています。
評価ボタンを押すと、設定の外に出る
回答の下にある、良い・悪いのボタンです。
OpenAIは、学習をオフにしていても、フィードバックを送った場合はその会話全体が学習に使われることがあると明記しています8。Anthropicも、法人契約では入力と出力を学習に使わないとしたうえで、フィードバックは例外で、最大5年保持されるとしています3。
設定をオフにして安心している人ほど押します。周知するなら、この一点は入れてください。
Anthropicの法人プランでは、組織の管理者がフィードバックの送信自体を無効にできます3。
消しても、学習済みの分は戻らない
会話を削除しても、すでに学習に取り込まれた分は戻りません。Anthropicは、削除した会話は以後の学習には使わないが、進行中の学習からは除外されないと書いています9。
Googleはもう一段きつい書き方です。一部の会話は人によるレビューに回り、レビュー済みの会話はアクティビティを削除しても消えず、アカウントから切り離したうえで最長3年保持されます7。
消せば済む、という前提で事故対応の手順を書かないでください。
オフにしても、短い保持は残る
Geminiは、保存をオフにしても72時間は残ります7。ChatGPTの一時的なチャットは学習に使われませんが、30日はシステムに残ります10。どちらも不正利用の監視のためです。
短い期間ですが、ゼロではありません。ゼロにしたい場合は保持なしの申請が要り、これは事前承認制です。
画面で見分けられるもの
設定は各自の画面にあり、全員分を確認する手段がありません。手がかりは2つです。
Microsoftは公式ドキュメントで、職場または学校のアカウントでサインインしている場合、画面上部の新しいチャットボタンの隣に緑の盾が表示されると書いています11。この盾が出ていれば、そのチャットは基盤モデルの学習に使われません。管理者の設定作業は要らず、対象のライセンスがあってEntraアカウントでサインインしていれば有効になります12。現場に配れる目印としては、いまのところこれがいちばん分かりやすいものです。
もう1つは、ChatGPTの一時的なチャットです。一時的なチャットは学習に使われませんが、保存すると通常のチャットに変わり、以後はアカウントの設定に従います10。一時的だから安全、という覚え方は危ないです。
設定を配るより、個人アカウントを止めるほうが速い
設定はサービスごとに別の場所にあり、名前も変わります。全員分を確認する方法もありません。手順書を配っても、実際にオフになっているかは分からないままです。
法人契約に寄せれば、この作業自体が要らなくなります。法人プランはどれも既定で学習に使われないので、設定を配る必要がありません。
Microsoftの場合、Entraのテナント制限で、個人アカウントでのサインインそのものを止められます13。なお、URLやIPをネットワークでブロックする方法について、Microsoftは推奨しないしサポートもしないと明記しています。Copilotがアプリケーションに深く統合されているため、予測できない結果になり、そのアプリ自体が使えなくなる可能性があるという理由です12。
確認する順番
- 自社で契約しているプランの正式名称を確認する
- 業務端末から個人アカウントでサインインできる状態かどうかを確認する
- 法人プランに寄せられないサービスを洗い出す
- 残ったサービスだけ、設定の場所を実機で確認してから手順を配る
- 評価ボタンの扱いを周知に含める
- 事故対応の手順を、削除が遡らない前提で書き直す
設定の手順書から始めると、配る相手の数だけ作業が増えます。契約の側から始めると、対象そのものが減ります。
Sources
- 1Enterprise privacy at OpenAIOpenAI、2026.01.08
- 2Generative AI in Google Workspace Privacy HubGoogle Workspace、2026.09.13確認日
- 3Commercial Terms of ServiceAnthropic、2026.09.13確認日
- 4Enterprise data protection in Microsoft CopilotMicrosoft Learn、2026.08.18
- 5Managing Copilot policies as an individual subscriberGitHub Docs、2026.09.13確認日。学習利用の開始は2026年4月24日
- 6Data controls FAQOpenAI、2026.09.11
- 7Gemini アプリのアクティビティGoogle、2026.09.13確認日
- 8モデルのパフォーマンス向上のためにデータがどのように使用されるかOpenAI、2026.09.11
- 9How do you use personal data in model training?Anthropic、2026.09.13確認日
- 10Temporary Chat FAQOpenAI、2026.09.12
- 11Privacy and protections in Microsoft CopilotMicrosoft Learn、2026.08.24
- 12Manage Microsoft CopilotMicrosoft Learn、2026.08.18
- 13Tenant restrictions V2Microsoft Learn、2026.09.13確認日
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