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業務端末で、生成AIを個人アカウントで使わせない方法

個人アカウントはURLでは止められません。4社とも同じしくみの公式手段があり、GoogleとMicrosoftはプロキシなしのポリシーだけで止められます。

会話を学習に使わせない設定の記事で書いたとおり、いちばん効くのは業務で個人アカウントを使わせないことです。では、どう止めるか。Microsoft、Google、OpenAI、Anthropicの4社とも、公式にサポートされた手段があります。そして、しくみはほとんど同じです。

先に会社アカウントを全員に配り、そのあとで止めます。GoogleとMicrosoftは、端末に配るポリシーだけで止められます。ChatGPTとClaudeのネットワーク側の手段はEnterprise向けで、それ以外の契約では、新しい個人アカウントを作りにくくする契約側の設定が中心になります。

2026年9月時点の各社の公式ドキュメントで確認した内容です。

URLでは止められない

個人アカウントと会社アカウントは、同じURLを使います。ChatGPTはどちらもchatgpt.com、Geminiはgemini.google.com、Claudeはclaude.aiです。営業部が会社のWorkspaceで使うGeminiも、社員が自分のGmailで使うGeminiも、gemini.google.comに向かいます。URLでフィルタすると、会社契約の利用も一緒に止まります。

Googleはこの点をはっきり書いています。管理下のアカウントからの正当な通信も、止めたい通信も同じURLに向かうので、プロキシでURLを絞る方法は使えない、と1。Microsoftも、URLやIPでCopilotを制御することは推奨せず、サポートもしないと明記しています2

Microsoftだけは、会社用と個人用で入口のURLがおおむね分かれています。会社用はm365.cloud.microsoft/chatやcopilot.cloud.microsoft、個人用はcopilot.microsoft.comやbing.com/chatです2。それでも公式はURLの遮断を勧めていません。アプリに深く組み込まれているため、思わぬところが壊れるからです2。URLの一覧を作って止める案は、候補から外してよいものです。

4社とも、許可する契約先をヘッダーで伝える

ブラウザがサービスに送る通信には、本文の前に宛先や言語などの付帯情報が付いています。これがヘッダーです。止め方は4社で同じ形で、ここに1行足して、この会社の契約先だけを許可する、とサービス側に伝えます。サービス側はその行を見て、それ以外のアカウントを拒否します。

サービス機能の名前付けるヘッダー使えるプラン
Microsoft CopilotTenant restrictions v2sec-Restrict-Tenant-Access-PolicyEntra ID P1 以上
Gemini一般ユーザー向けアカウントのブロック(Block access to consumer accounts)X-GoogApps-Allowed-DomainsWorkspace
ChatGPTWorkspace BlockingChatGPT-Allowed-Workspace-IdEnterprise
ClaudeTenant Restrictionsanthropic-allowed-org-idsEnterprise と Console

Microsoftだけ、値の中身が少し違います。許可する相手の一覧はEntra IDの設定に置き、ヘッダーにはその設定のIDを入れます5。止める相手は個人アカウント用のテナントです。Microsoftは契約ごとにテナントという区画を持ち、個人のMicrosoftアカウントもひとつのテナントとして扱われます。そのIDは 9188040d-6c67-4c5b-b112-36a304b66dad です5

ChatGPTでは契約の単位をワークスペース、Claudeでは組織と呼び、ヘッダーにはそのIDを入れます34。Claudeは、API用の管理画面であるConsoleの組織も対象です4

ヘッダーを付けるのは、多くの場合、社内の通信をいったん受けて外に出す中継サーバー、つまりプロキシです。HTTPSは中身が暗号化されているので、プロキシがヘッダーを足すには、通信をいったん復号して読める状態にする必要があります。これがTLS検査です。社内で発行した証明書を端末に配り、プロキシがその証明書で通信を復号します。OpenAIとAnthropicは必須と明記しています34。MicrosoftとGoogleも、プロキシ方式では同じです15

TLS検査ができるプロキシがあるなら、この4つのヘッダーを入れれば4社ぶんまとめて止まります。ChatGPTはログインなしでも使えるので、それも止めるなら https://chatgpt.com/backend-anon/ で始まるURLを別に遮断します3。ChatGPTのデスクトップ版とスマホ版のアプリは証明書のピン留めをしているため、TLS検査に使う証明書をMDMで配らないとアプリが動きません3

プロキシがなくても、ChromeとWindowsのポリシーで止められる

GoogleはChromeのポリシーで済みます。AllowedDomainsForApps に自社のドメインを入れると、Chromeが自分でヘッダーを付けます6。Windows、Mac、Linux、Android、ChromeOSのChromeで使えます6。プロキシは要りません。管理下のChromeが前提で、Chromeのポリシーなので、EdgeやSafariで開いた場合には効きません。ChromeOS端末なら、Google管理コンソールの Devices > Chrome > Settings にある Sign-in to secondary accounts からも同じ制限を配れます1

Microsoftは、WindowsのグループポリシーでTenant restrictions v2を配れます5。プロキシは要りません。ただし、ブラウザではEdgeにしか効きません。Officeアプリには効きます5。ChromeやFirefoxで開いた場合は素通りし、止めるにはApp Control for BusinessとWindowsファイアウォールの設定を足す必要があります5。このWindows端末での方式は、2026年9月時点でプレビュー扱いです5。すべてのブラウザとOSに効かせたい場合、MicrosoftはGlobal Secure Accessという別のサービスを使うUniversal tenant restrictionsを案内しています5

OpenAIとAnthropicは、ヘッダー方式がEnterprise向けです。代わりに契約側でできることがあります。自社のメールドメインが自社のものだと、DNSに記録を置いて証明する手続きを、ドメイン検証と呼びます。Anthropicは、ドメイン検証のあとに Restrict organization creation を有効にすると、検証済みドメインのメールで新しい組織や個人アカウントを作れなくなります7。この設定はSSOの手順の中にあり、SSOはTeamプランでも使えます7。OpenAIは、Businessでは個人ワークスペースの統合や削除を管理者が求めることはできないと明記しています8。EnterpriseとEduでは、検証済みドメインを使った招待を受けた人に、同じメールの個人アカウントの移行が求められることがあります8。ドメインの請求という、ドメイン検証とは別の仕組みもありますが、承認された用途に限られ、サポートかアカウント担当への申請が要ります9

この節の手段は、プロキシの調達を待たずに始められます。ChatGPTとClaudeのネットワーク側は、Enterprise契約とプロキシがそろってからです。

画面だけでは、全員分を見分けられない

止める前に、いま何が使われているかを知る必要があります。公式ドキュメントに書いてある手がかりは、Microsoftの緑の盾を除くと、クリックしないと出ないか、記載がありません。

サービス会社契約の目印URL
Microsoft Copilot新しいチャットボタンの隣の緑の盾[14]会社用は m365.cloud.microsoft/chat や copilot.cloud.microsoft、個人用は copilot.microsoft.com や bing.com/chat[2]
Gemini公式の説明はない。上部の Pro、Expanded、Ultra のバッジはライセンスの段階を示すもので、会社契約かどうかは分からない[10]同じ
ChatGPT右上のプロフィールアイコンを押すと、ワークスペースの一覧が出る[11]同じ
Claude左下のイニシャルか名前を押すと、使用中のアカウントに青いチェック[12]同じ

Microsoft以外は、画面を見ただけでは分かりません。ChatGPTとClaudeはクリックが要り1112、Geminiは見分ける表示が公式ドキュメントにありません10。画面を見て回る方法では、全員分を確認できません。通信の記録から見分けるか、ヘッダーで止めるかのどちらかになります。

ヘッダー方式は、そのサービス以外も止める

Googleは、Google検索を除き、サインインが要るGoogleのサービスが対象になります1。個人のGmailも開けなくなります。社員が個人のGmailで受け取っている宅配の通知や、家族と共有しているカレンダーも、社内端末では見られません。個人のGmailを許すなら、ヘッダーの値に consumer_accounts を足します1。自社のドメインと gserviceaccounts.com を入れ忘れると、業務のGoogleサービスまで止まることがあります1

Microsoftも、個人アカウント用のテナントを止めると、個人のMicrosoftアカウントでのサインイン全体が対象になります。ユーザー単位の例外はなく、アプリ単位の例外だけです5。一方で、個人向けOneDrive(onedrive.live.com)はこの方式の対象外で、止めるならプロキシでURLを遮断するしかありません5

ChatGPTとClaudeは、個人アカウントしか持っていない人がエラーで止まります34。事前に会社アカウントを配っておかないと、業務が止まります。

会社のIDでまとめてログインするしくみをSSOと呼びます。Claudeで会社のSSOを必須にすると、SSOに登録されていない人は、既存の個人アカウントに入れなくなります。削除はされませんが、アクセスできなくなります13。公式は、対象外の人に会話の書き出しを事前に案内するよう勧めています13。会社アカウントへの移行を先に案内してください。

会社アカウントを配ってから止める

  • 業務で使っているAIサービスと、それぞれのプランを確認する
  • 会社アカウントを全員に配る。これが先で、止めるのは後
  • Google は Chrome のポリシー、Microsoft は Windows のポリシーから始める。プロキシが要らない。Microsoft の Windows 方式は Edge と Office アプリにしか効かない
  • ChatGPT と Claude は、ドメイン検証、組織作成の制限、SSO といった契約側の手段を先に入れる。ChatGPT Business では個人ワークスペースの移行を強制できないので、案内が中心になる
  • TLS検査ができるプロキシがあるなら、4社ぶんのヘッダーをまとめて入れる。ChatGPT はログインなしの利用を止める URL 遮断も足す
  • 止める日を決めて、従業員に事前に知らせる。文例は別の記事に

順番を逆にすると、つまり先に止めてから会社アカウントを配ると、その間に自分のスマホで使われます。会社の端末からは見えなくなるだけで、使われ方は変わりません。

Sources

  1. 1Block access to consumer accountsGoogle Workspace2026.09.10
  2. 2Manage Microsoft CopilotMicrosoft Learn2026.08.18
  3. 3Corporate Network Controls in ChatGPT EnterpriseOpenAI2026.08.15
  4. 4Enforce network-level access control with Tenant RestrictionsAnthropic2026.08.04
  5. 5Set up tenant restrictions v2Microsoft Learn2026.06.11
  6. 6AllowedDomainsForAppsChrome Enterprise2026.09.13確認日
  7. 7Set up single sign-onAnthropic2026.08.04
  8. 8Onboarding employees with existing ChatGPT accountsOpenAI2026.09.13確認日
  9. 9Domain verificationOpenAI2026.09.13確認日
  10. 10Use Gemini Apps with a work or school Google AccountGoogle2026.09.13確認日
  11. 11What is a ChatGPT Enterprise workspace and how can I switch workspacesOpenAI2026.09.13確認日
  12. 12Move your personal Claude account to a Team or Enterprise organizationAnthropic2026.07.21
  13. 13Important considerations before enabling SSO and JIT/SCIM provisioningAnthropic2026.08.04
  14. 14Privacy and protections in Microsoft CopilotMicrosoft Learn2026.08.24

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